ロゴリニューアルの考え方

会社らしさを整理し企業イメージを刷新する


「ロゴを新しくしたいけれど、何から考えればいいのかわからない」。ロゴリニューアルを検討する企業から、よく聞く悩みです。見た目を新しくすることだけを目的にすると、デザイン案の好みを比べるだけになり、会社として何を変えたいのかが曖昧になりがちです。 企業ロゴのリニューアルは、これからの会社の姿を整理し、その考えを社内外に伝わる形へ変換する機会でもあります。企業理念やビジョン、事業の変化、顧客との関係、採用で伝えたい印象などを見直し、その内容をロゴやコーポレートデザインへつなげていく。本記事では、ロゴ変更を「デザインの更新」だけで終わらせず、企業ブランディングの一部として進めるための考え方を整理します。

What Is a Renewal?

1.ロゴリニューアルは会社の意味を整え直す機会

ロゴリニューアルは、古くなったマークを新しく描き直す作業だけではありません。企業がこれまで培ってきた価値と、これから目指す姿を整理し、その間をつなぐ「会社の顔」をつくり直すプロジェクトです。


ロゴは、名刺、Webサイト、会社案内、看板、商品、採用資料など、さまざまな接点に登場します。日常的に繰り返し見られるため、企業の印象をつくるうえで大きな役割を持っています。一方で、ロゴだけを変えても、会社が伝えたい内容や事業の方向性が整理されていなければ、ブランドイメージの刷新にはつながりにくくなります。


特に、事業承継、周年、新規事業、事業転換などは、企業ロゴを見直すきっかけになりやすいタイミングです。創業時から事業内容が広がっている、世代交代で経営理念を言葉にし直したい、採用でこれまでと違う層へ魅力を伝えたい。こうした変化があるとき、現在のロゴが会社らしさを十分に表しているかを確認する意味があります。


ここで大切なのは、「古いから変える」「今っぽくしたい」だけで判断しないことです。残したい歴史や信頼もあれば、今後に向けて変えたい印象もあります。まずは、何を守り、何を変えるのかを言葉にする。その整理が、ロゴデザイン リニューアルの出発点になります。

  • ロゴリニューアルは、会社の歴史とこれからの方向性をつなぐプロジェクトとして考えます。

  • ロゴは多くの顧客接点に現れ、企業の印象やブランドイメージを繰り返し伝える存在です。

  • 事業承継や周年、新規事業は、企業ロゴと会社らしさの関係を見直しやすいタイミングです。

  • 「古いから変える」ではなく、残す価値と変える価値を整理してからデザインへ進みます。

  • 企業理念やビジョン、事業の方向性と合わせて考えることがリブランディングにつながります。

Three Points
2.ロゴをつくり直す前に考えたい3つのポイント

3つは別々の話ではありません。「残すもの」「これから届けたい相手」「使われる場面」を重ねて考えることで、デザインの判断基準が生まれます。その基準があると、社内で意見が分かれたときにも、会社として何を優先するかを話し合いやすくなります。

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    #01

    何を変え、何を残すのかを決める

    長く使われてきたロゴには、社員や顧客が積み重ねてきた記憶があります。全面的に変えることが最適とは限りません。シンボルマークの意味、ブランドカラー、社名の見え方など、現在の資産を分解し、残したい要素を探します。歴史を引き継ぎながら印象を更新する方法も、企業ロゴ リニューアルでは有効です。

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    #02

    これから誰に、どう見られたいかを
    言葉にする

    ロゴは自社が好きなデザインを選ぶためのものではなく、顧客や求職者、取引先などとのコミュニケーションを支えるものです。今後どんな顧客と関係をつくりたいのか、採用でどんな人に共感してほしいのかを考えると、目指すブランドイメージが見えやすくなります。

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    #03

    ロゴの先にある展開まで考える

    新しいロゴは、Webサイト、会社案内、名刺、サイン、商品パッケージなどへ展開されます。小さな画面でも読めるか、単色でも成立するか、さまざまな媒体で統一感を保てるか。視認性や汎用性、展開性まで含めて検討すると、長く使いやすいコーポレートデザインにつながります。

Shape the Future
3.デザインの前に、これからの会社の姿を言葉にしてみる

ロゴ制作を始める前に取り組みたいのが、会社の未来像を言葉にすることです。

デザインコンセプトは、経営やブランドについての整理から生まれます。最初から「丸い形がいい」「青を使いたい」と決めるのではなく、なぜその表現が自社にふさわしいのかを説明できる状態を目指します。 まず、現在地を確認します。事業は創業時からどう変化したのか。顧客は誰で、どのような理由で選んでくれているのか。競合と比べたときの強みは何か。社員は自社の魅力をどのように説明しているか。こうした現状分析を行うことで、これまで会社が積み上げてきた企業価値が見えてきます。


次に、未来について考えます。5年後、10年後にどんな会社でありたいのか。どんな事業へ広がっていたいのか。顧客や地域、社員にどんな存在として認識されたいのか。企業理念、ミッション、ビジョンがすでにある場合も、その言葉が現在の経営戦略と合っているかを確認するとよいでしょう。 社内で話し合うなら、「自社は誰に、どのような価値を届けたいのか」「これから顧客にどのような印象を持ってもらいたいのか」「変えたくない会社らしさは何か」「現在のロゴは、今の事業や未来像をどこまで表しているか」といった問いが役立ちます。


良いロゴは、一目見ただけですべての企業理念を説明するものではありません。ただし、背景に明確な考えがあることで、フォント、書体、カラー、形状などの選択に一貫性が生まれます。反対に、経営やブランドの整理を飛ばしてデザイン案だけを比較すると、修正を重ねても判断軸が定まらず、プロジェクトが長引くことがあります。 ロゴリニューアルをリブランディングの一部として捉えるなら、デザインを始める前の対話こそが大切です。制作会社への依頼時にも、完成イメージを細かく指定するより、自社の現状や課題、これからの方向性を共有するほうが、より幅のある提案を受けやすくなります。

Design System
4.企業イメージをつくる3つのデザイン領域

IDENTITY|会社の核を示す

ロゴマーク、ロゴタイプ、ブランドカラー、書体などは、ブランドアイデンティティを視覚化する基本要素です。CIやVIと呼ばれることもあります。たとえばロゴの形が変わらなくても、ロゴタイプやカラー体系を整理するだけで、企業の印象を現代的に整えられる場合があります。何を共通ルールにするかを決める領域です。


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COMMUNICATION|伝え方を揃える

Webサイト、会社案内、営業資料、採用ツール、SNSなど、会社が発信する媒体のトーン&マナーを整える領域です。写真の雰囲気、余白、見出しの表現、文章の語り口まで含めると、一つひとつの制作物が違っても同じ会社らしさを感じてもらいやすくなります。


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EXPERIENCE|接点で感じてもらう

看板、オフィス、店舗、商品パッケージ、展示会など、顧客や社員が実際に触れる場所もブランドイメージをつくります。たとえば採用を強化する会社なら、求人ページだけでなく、会社説明会やオフィスの見え方まで連動させることで、伝えたい企業像に一貫性が生まれます。

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Renewal Process
5.ロゴリニューアルを進める5つのステップ

ロゴリニューアルは、いきなりデザイン案をつくるより、考える順番を整えて進めるほうがスムーズです。企業規模や課題によって工程は前後しますが、「知る・整理する・決める・つくる・育てる」という流れを意識すると、社内外の認識を揃えやすくなります。



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  • STEP 1|現状を知る


    経営者や担当者へのヒアリング、既存資料の確認、競合調査を通じて、現在の企業イメージと課題を整理します。歴史や強みだけでなく、今のロゴがどのように使われているかも確認します。


    [確認したいこと]

    ・事業や組織はどう変化してきたか

    ・既存ロゴで評価されている点は何か

    ・顧客や社員からどのように見られているか

  • STEP 2|未来を整理する


    企業理念やビジョン、経営戦略をもとに、これからの会社の方向性を言葉にします。事業承継の場合は、先代から受け継ぐ価値と次世代で変えたいことを分けて考えます。


    [確認したいこと]

    ・5〜10年後にどんな会社でありたいか

    ・残したい会社らしさは何か

    ・今後増やしたい顧客や人材は誰か


  • STEP 3|ブランドコンセプトを決める


    現状と未来をつなぐキーワードやブランドコンセプトを設計します。ここがデザイン提案を評価する共通の物差しになります。関係者間で認識を揃えてから制作へ進みます。


    [確認したいこと]

    ・自社を一言で表すと何か

    ・競合との違いをどう伝えるか

    ・デザイン判断の基準を共有できているか


  • STEP 4|ロゴとデザインシステムをつくる


    複数のデザイン案を検討し、シンボル、ロゴタイプ、カラー、書体などを設計します。見た目の好みだけではなく、視認性、汎用性、展開性、コンセプトとの整合性から判断します。


    [確認したいこと]

    ・小さなサイズでも見やすいか

    ・単色や縦横展開でも使えるか

    ・ブランドコンセプトを表現できているか


  • STEP 5|展開し、運用しながら育てる


    ロゴ決定後は、Webサイトや名刺などへ展開し、ブランドガイドラインを整備します。公開して終わりではなく、社内で使われ方を共有し、必要に応じて運用ルールを更新していきます。


    [確認したいこと]

    ・主要な制作物の更新順序は決まっているか

    ・ロゴ使用ルールを社内外で共有できるか

    ・新しいブランドを社員が説明できるか


まとめ


ロゴリニューアルを考えるとき、最初に決めるべきなのは色や形ではありません。まず、これまで会社が積み上げてきた価値を振り返り、これからどのような企業でありたいのかを整理すること。その内容が明確になるほど、ロゴデザインの判断軸もつくりやすくなります。


第1章では、ロゴの変更を単なる見た目の刷新ではなく、会社の意味を整え直す機会として捉えました。第2章では「残すもの」「届けたい相手」「展開する場面」の3つを確認し、第3章では企業理念やビジョン、経営戦略から未来像を言葉にする方法を整理しました。さらに第4章では、ロゴ、コミュニケーション、体験という3つの領域へ広げ、第5章では実際の進め方を5つのステップに分けています。


最初の一歩として、自社の現在のロゴを見ながら「このロゴのどこに自社らしさを感じるか」「5年後もこの印象でよいか」を社内で話してみるだけでも十分です。変える理由だけでなく、残したい理由も言葉にすると、リニューアルの目的が見えやすくなります。


社内だけでは考えがまとまらない場合や、何から整理すればよいかわからない場合は、デザイン会社やブランディング会社に早い段階から相談する方法もあります。MERRY BEETLEでは、ロゴを描くところからではなく、会社の背景やこれからについて話すところからプロジェクトを始めます。企業ごとに異なる歴史や課題に合わせて、無理のない進め方を一緒に考えていきます。


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Writer

1986年大阪生まれ。神戸大学卒業後、nendoを経て2016年、MERRY BEETLE設立。モノ・サービスや企業のブランディングにおける、デザイナーと企業の共通言語をつくるべく活動している。好きなものはクワガタ、カブトムシ、ウルトラマン(特にA)、そして焼きそば。


株式会社メリービートル 代表取締役

一般社団法人TOGU 代表理事
堺デザイン協会 理事
大阪デザインセンター(ODC) 評議員

大阪府地域資源活用・地域連携プランナー

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